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総司は一度深呼吸をしてから甘味屋の暖簾をくぐった。
「ごめんください。」
「沖田さんいらっしゃい!」【瘦腿針】BOTOX 瘦小腿療程資訊 - Cutis
トキが今日は賑やかで嬉しいわとにこにこ笑って三人を出迎えた。原田と永倉も“どうも”と軽く頭を下げた。
「三津なら今ちょっとお団子届けに。」
「おトキさん吉田と言う男をご存知ですか?」
「吉田さん?えぇうちのお客さんでいてますよ。
ちょうど今その吉田さんにお団子届けに行ってます。」
唐突な質問にきょとんとしつつもすぐに答えた。すると間髪入れずにすぐ様次の質問が飛んできた。
「いつから来てますか?」
「えっと…去年の夏…ほら三津が暑気当たりで寝込んでたぐらいから。それが…何か?」
段々とトキの顔が曇りだした。総司の表情がどこか影を落としているのが気になりだした。
「何や沖田はん今頃吉田の兄ちゃんと張り合う気になったんか?」
何も分かってない客達がいつものように囃し立てる。
「その吉田はいつもお三津に会いにここへ?二人はいい仲?」
愛想のいい笑顔を振りまいて原田が客達に問いかけた。
親近感を沸かせて近付けばほいほいと聞いてもない話をしてくれる。
「吉田の兄ちゃんの片恋や。嫁に来い来い言うてるけどみっちゃんは乗り気ちゃうからな。まぁ推しが強いしもうちょい頑張れば…。」
嫁と聞いて総司の眉が釣り上がる。
「吉田は長州藩の藩士です!先程…間者の疑いで三津さんを捕縛しました…。」
客の言葉を遮って総司の声が響いた。
賑やかだった店内が一瞬にして静まり返った。誰もが言葉の意味を飲み込むのに時間を要した。
「ちょ…待って下さい。吉田さんが長州の人やなんてうちらも知らんし三津かて知りませんよ!せやのに捕縛やなんて!!」
トキの声が震えた。いつだって気丈に振る舞うが今回はそうはいかなかった。
「ホンマや沖田はん何阿呆な事言うとんねん!この前吉田の兄ちゃん来てる時何も言わんかったやんけ!!」
「………え?」
「え?居てたやん?」
ぽかんとしてしまった総司に客達もぽかんとしてしまった。
「私……吉田に会ってます?」
その問に原田永倉以外の全員が頷いた。総司は一気にここでの記憶を呼び起こすけれど思い出されるのは三津の笑顔ばかり。
『あぁ…私ここに来て三津さんの事しか見てなかった…。』
何たる不覚だとガックリ項垂れた。
「つい最近やで?沖田はんが久々に来はった時表の椅子におったやろ?」
「私が久しぶりに来た時…長椅子に……。」
その時眠ってた記憶が蘇った。
三津が着飾って出掛けた理由を聞きに来たあの日。
長椅子に腰掛けてみたらし団子を美味しそうに食べていた男。
手首に下げ緒を結びつけていた変な男。
「…っ居た!居ました!!美味しそうにみたらし団子食べてた!!えっ!?えっ!?あれ!?」
「会ってんのかよ!!」
原田が頭を叩き,永倉はすねを蹴飛ばした。
「だって手配書の似顔絵あてにならないんですもん!!」
『それにあの日は二人で出掛けたいと言えなくて…三津さんに全然伝わらなくて逃げ帰ったんだ…。』
苦い記憶に打ちひしがれていると,お客の一人が激しく机を叩きつけて立ち上がった。
「今そんなんどうでもええねん!分かったやろ!?今日かてみっちゃんはお客さんに好物届けに行っただけなんや!!みっちゃん返してくれや!」
疑われてる三津はどうなってしまうんだと総司に詰め寄った。
「沖田さん…ホンマに三津はそんな大それたこと出来る子ちゃいます…。
吉田さんともそんな仲やないです…。吉田さんの好意を失礼なぐらい蔑ろにしてましたから…。」
『失礼なぐらい蔑ろ……。笑えない……。』
そこだけは吉田に同情できた。
「本当に…三津さんは吉田の正体を知らないんですね?」