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と事情の説明を始めると

と事情の説明を始めると、ロキは尻餅をついて、放心したように、イザベラの顔を見つめていた。タゴロローム守備軍司令部のバンケルクの執務室では、人払いをした将軍バンケルクがエレナに椅子を勧めているところであった。「姫、お久しぶりです。わざわざこのような所に来ていただくとは、驚きましたが、嬉しい限りです。また一段と美しくなられましたな。」「将軍もご健勝そうで何よりです。」「そうでもありませんよ。offshore company hong kong近頃不愉快な事が多いもので。」「今日は将軍の心の内を知りたくて参りました。」「心の内、私の心の内ならロキに届けさせた手紙の通りですが・・・そう言えば、未だ返事を戴いてませんでしたな。」「そうでした。返事をしていませんでしたね。」 エレナは形を改め、穏やかな湖のように澄んだ瞳でバンケルクをじっと見た。ロキの届けた手紙の返事・・・エレナが明かした手紙の内容は、エレナに対して殺し屋が放たれた事、その殺し屋の名はドルフという事であった。だがどうやら、手紙には別の事も書かれていたようだ。「私のような者を妻にと望んでくれる将軍の気持ちはとても嬉しいと思います。そして、私に剣を教えてくれた将軍は掛け替えの無い恩人です。あの時、将軍と剣に打ち込んで過ごせていなかったら、私本当に気が狂ってしまっていたでしょう。」「姫、姫の身に起こったお痛わしい出来事で傷ついたお心を少しでも和らげる事が出来たとしたら、この私も剣の修行を施した甲斐もありました。今でも、私はただ姫をお守りしたいのです。」「将軍・・・将軍があの頃のままの方でしたら、私喜んで将軍の妻とならせて戴きたいと思っていましたわ。でも、近頃お聞きする将軍のお噂は、私には思いもよらぬ事ばかり、一体何が有ったのですか?」 どうやら、ロキの届けた手紙の中には、バンケルクからエレナへの求婚の旨がしたためられていたようである。そしてまた、バンケルクの『未だ返事を戴いてません』という言葉から、ロキが届けたエレナの手紙には、求婚に対するはっきりとした返事は書かれていなかったようだ。「私の姫に対する気持ちは、今も昔も変わりありませんよ。近頃の噂とは何の事でしょう?」「・・・。では、お尋ねします。まず、将軍の部下がロキさんを誘拐しようとしたと聞きました。これは、まことの話ですか?」「確かに部下が私に断りもなく、ロキを誘拐しようとしたようです。しかし、ロキの方が悪いのですよ。ハンベエなどというゴロツキと親密にしているから、そんな目に遭うのです。」バンケルクは、ロキの件について尋ねられ、少し気まずい表情になったが、事も無げに答えた。バンケルクの答えにエレナは少し眉をひそめた。「ハンベエさんをゴロツキとは聞き捨てなりませんね。あの人も又私の命の恩人です。聞くところによれば、将軍は私の願いを無視して、ハンベエさんを平兵士に処遇したらしいですね。」「姫はハンベエに騙されているのではありませんか?姫の危急を救ったという話は手紙で存じて居りましたが、最初に引見した時から、不遜で人に仕えるような物腰ではありませんでした。忠誠心の一カケラも無い事が有り有りと見てとられましたが。」「忠誠心?」「左様です。如何に愛する姫の推薦とはいえ、忠誠心のない者を重要な地位につける訳には行きません。ハンベエという男は謀反人ですよ。案の定、入隊したその日に上官を斬り殺していますし、その後も何かと揉め事を起こし、遂に反乱を起こして、守備軍兵士を二百人も殺害しました。」「入隊のその日に上官を斬り殺した?何故、罰っせられなかったのですか?」「それは、上官の方に罪が有り、そちらが先に斬り掛かったからですが。」「では、ハンベエさんは悪くないではないですか。」「いや、相手は全員一太刀で斬り捨てられていたそうです。それほどの腕前があれば、殺さずに捕らえる事も出来たはずです。

 

Creation date: Jan 17, 2021 2:03am     Last modified date: Jan 17, 2021 2:03am   Last visit date: May 2, 2024 3:24am
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