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それから入江はずいっと真顔を三津に顔

Creation date: May 12, 2024 9:54am     Last modified date: May 12, 2024 9:54am   Last visit date: Jul 25, 2024 1:21pm
1 / 20 posts
May 12, 2024  ( 1 post )  
5/12/2024
9:54am
John Smith (johnsmith786)

それから入江はずいっと真顔を三津に顔を寄せた。

 

 

「私格好いいの?」

 

 

「格好いいと思います。」

 

 

「松子の好み?」

 

 

「好っ……みぃ……は〜……。」

 

 

またややこし事を聞いてきたなと白目を剥きそうになった。だが三津も学習に学習にを重ねている。

 

 

「好みは新ちゃんです。」

 

 

「うわっまた敵わん相手出しよった!木戸さんも見た目好みやないらしいですよ。」

 

 

入江は自分だけ傷付くのは嫌だからすかさず桂にも話を振った。どんな時も道連れだ。

 

 

「知ってる。松子に見た目を褒められた記憶がない。」

 

 

自分に迫ってくる女は大体顔だけで寄って来ていたが,三津は逆に全く見た目に関心を示してはくれなかったのを嘆いた。【瘦腿針】BOTOX 瘦小腿療程資訊 - Cutis

 

 

「好みが新ちゃんって事は一之助君の顔は好み?」

 

 

「いえ,一之助さんと新ちゃん顔は似てません。似てるのは雰囲気と声だけで。」

 

 

「そっかぁ。どんな人やったか増々気になるわぁ。」

 

 

「彼を大好きなのはよぉーく分かるよ……。松子自ら胸に飛び込んで抱き着くぐらいだからね……。」

 

 

桂は三津を連れて萩を発つ時を鮮明に思い出した。三津がよく分からん男を新ちゃんと呼び,抱きしめられてるなんて衝撃過ぎた。

 

 

「あー……あれは……。」

 

 

あなたを懲らしめる為の演技でしたとも言えずに三津は目を泳がせた。

 

 

「それだけ雰囲気が新ちゃんに似ていて,三津の中でも彼が一番なのがよく分かったよ。

でもそれはごく普通の事だよ。君は突然大好きな相手を奪われたんだ。彼を想う気持ちが強くなって当然。

だから前に言ったよね?彼をずっと好きなままでいいって。新ちゃんが一番でも私は気にしない。」

 

 

「新ちゃんが一番なら木戸さんは私の次だから三番目ですね。」

 

 

「お前いちいち腹立つな。」

 

 

にっこり笑いながら口撃してくる入江に思わず舌打ちをした。そんな桂を無視して入江はそのまま三津に微笑みかけた。

 

 

「私も新ちゃんが一番でも構わん。本来なら三津の隣りにおったのは新ちゃんや。

でも一之助君はいい思いしたなぁ。三津の方から抱き着いてくれるんやもん。」

 

 

「一之助さんからすればいい迷惑やったと思いますよ?好きでもない奴にいきなり死んだ恋仲と重ねられて抱き着かれて名前呼ばされて。」

 

 

三津はもっとお礼しとくべきだったなぁと遠い空を見つめた。それには桂と入江が顔を見合わせた。

 

 

「君もそろそろその無自覚を何とかした方がいいと思うよ?天然の人たらし。」

 

 

「そうやで。女嫌いの一之助君がそれを許すって意味もうちょっと考えり?天然の人たらし。」

 

 

二人は呆れた眼差しを三津に向けた。三津は三津ですぐさま反論した。

 

 

「一之助さんには仕事仲間として好きやとは言われました。それだけです。」

 

 

すると桂と入江はまた顔を見合わせた。

 

 

「小太郎,どう思う?」

 

 

「これは松子が意味を捉え違えてると思います。」

 

 

「同感だな。」

 

 

二人が頷きあってるのが不服で三津は口をへの字に曲げた。

 

 

「不満そうだな。

君は彼が女嫌いだから好きの意味は恋愛感情以外だと決めつけてそう思い込んでるだけだと思うよ?」

 

 

桂に言われた“決めつけてる”がぐさりと刺さった。

吉田にも“決めつけないでよ”と言われたのを思い出した。

 

 

「それは……。吉田さんに関してはからかってるって決めつけて向き合わんかったのは後悔も反省もしてますけど……。

一之助さんははっきりとそんな目で見てへんって言わはったし……。それって女として見てへんって事でしょ?」

 

 

「いくら好きな相手でも同じ店で働いとったらそんな目で見ちょるとはよう言わんやろ。

木戸さん,こりゃ稔麿以外にも被害者おりますよ。好意を伝えたのに蔑ろにされた可哀想な奴。」

 

 

「なっ!」

 

 

蔑ろとは失礼な言い草だと三津はまた反論したかったが桂は間違いないと深く頷いている。

桂は桂で三津に好意を持っていた奴らを思い浮かべていた。